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今月は日本小動物医療センター夜間救急診療科科長の森田肇先生による心肺蘇生実習を行いました。
実践形式で行ったので、チーム医療の大切さも学ぶことができました。
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フクロモモンガの自咬症
はじめに
フクロモモンガはオーストラリアを中心にオセアニア地域に生息している有袋類で、地域によっていくつかの亜種に分けられています。モモンガという名前がつくものの分類学的には大きくかけ離れており、フクロモモンガはカンガルーなどの仲間です。そのためリスの仲間のモモンガとは野生下での習性や食物なども異なっており、飼育下でもそれに則した適切な飼育管理が必要となります。
ここではフクロモモンガでよくみられる自咬症について詳しく説明していきます。
原因
自咬症はさまざまな原因が挙げられるが、環境ストレスや皮膚疾患などに続発して発症することが多いです。
環境ストレス
フクロモモンガは社会性をもつ動物であり、野生下では一頭のオスを中心とした小規模な群れを形成して生活しています。そのためケージ内での単独飼育ではストレスにより自咬症を引き起こすことが報告されており、単独飼育を選択する場合は十分に遊ぶ時間を設ける必要があります。なお、多頭飼育により社会性を満たせないことによるストレスは解消できますが、相性によっては他個体に排他的となる可能性や雌雄の組み合わせでは望まない繁殖の可能性もあるため注意が必要です。
皮膚疾患
自咬症を引き起こす主な部位は臭腺や陰部、育児嚢などで、それらの部位の炎症や分泌異常などに伴うことが多いです。疼痛や掻痒によって自咬が始まると考えられるため、何らかの原因による炎症や創傷も二次的な自咬症の原因となり得ます。
特に雄では炎症や感染の他に、分泌物貯留などを原因とした陰茎脱も多く、これを自傷することがあります。
症状
疼痛や不快感などによる舐め壊しにより皮膚の状態が増悪し、これにより二次的な感染や炎症が発生します。この悪循環により自咬症へと発展して患部の皮膚を自傷し、さらに重度になると筋肉の露出や断尾、陰茎の断裂にまで至ることもあります。
感染が悪化すると膿瘍にまで発展することもあり、これによる皮下膿瘍や突然死のリスクもあります。
検査
自咬症の場合は何が原因であるかを精査することが重要です。細菌や寄生虫の感染や外傷、腫瘤などを各種検査(皮膚細菌検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査など)で除外します。
治療
自咬症はいずれの原因であっても増悪を防ぐための措置が必要であり、カラーの装着が必要となることが多いです。自咬症の原因となるような基礎疾患の治療は重要ですが、すでに患部の状態が悪く個体のQOLの低下が認められるときには、併せてその対症療法も必要となります。
自咬症の治療は洗浄消毒、出血が認められる場合には止血処置を実施し、重度の裂傷などを認めるときには縫合処置が必要になることもあります。また処置後には痛み止めや感染に対して抗生物質の投与をおこないます。
上記の検査やそれに伴う治療反応から、自咬症の原因となる疾患を除外した場合は環境ストレスが原因として挙げられます。その場合では飼養環境の見直し、特に遊ぶ時間を増やすことや、多頭飼育することで改善されたという報告もあります。
予防
自咬症の原因となる疾患は主に皮膚疾患であり、その原因疾患の治療に早い段階で介入することにより増悪を防ぐことができます。さらに皮膚感染症も自咬症の原因となりうるため、環境の清浄化や感染の認められた個体との隔離を実施することが重要です。環境ストレスによる自咬症の場合は、十分に遊ぶ時間を設けることで発症を抑えられる可能性があります。
まとめ
フクロモモンガの自咬症は早いうちから原因を特定し、適切な対策と処置を講じることで予防や改善が期待できます。普段からフクロモモンガの動きや体表をよく観察して、何か異常を認めた場合には動物病院を受診することが重要です。アリーズ動物病院でもフクロモモンガの診察をしております。何か気になることがあればご相談ください。
フクロモモンガはオーストラリアを中心にオセアニア地域に生息している有袋類で、地域によっていくつかの亜種に分けられています。モモンガという名前がつくものの分類学的には大きくかけ離れており、フクロモモンガはカンガルーなどの仲間です。そのためリスの仲間のモモンガとは野生下での習性や食物なども異なっており、飼育下でもそれに則した適切な飼育管理が必要となります。
ここではフクロモモンガでよくみられる自咬症について詳しく説明していきます。
原因
自咬症はさまざまな原因が挙げられるが、環境ストレスや皮膚疾患などに続発して発症することが多いです。
環境ストレス
フクロモモンガは社会性をもつ動物であり、野生下では一頭のオスを中心とした小規模な群れを形成して生活しています。そのためケージ内での単独飼育ではストレスにより自咬症を引き起こすことが報告されており、単独飼育を選択する場合は十分に遊ぶ時間を設ける必要があります。なお、多頭飼育により社会性を満たせないことによるストレスは解消できますが、相性によっては他個体に排他的となる可能性や雌雄の組み合わせでは望まない繁殖の可能性もあるため注意が必要です。
皮膚疾患
自咬症を引き起こす主な部位は臭腺や陰部、育児嚢などで、それらの部位の炎症や分泌異常などに伴うことが多いです。疼痛や掻痒によって自咬が始まると考えられるため、何らかの原因による炎症や創傷も二次的な自咬症の原因となり得ます。
特に雄では炎症や感染の他に、分泌物貯留などを原因とした陰茎脱も多く、これを自傷することがあります。
症状
疼痛や不快感などによる舐め壊しにより皮膚の状態が増悪し、これにより二次的な感染や炎症が発生します。この悪循環により自咬症へと発展して患部の皮膚を自傷し、さらに重度になると筋肉の露出や断尾、陰茎の断裂にまで至ることもあります。
感染が悪化すると膿瘍にまで発展することもあり、これによる皮下膿瘍や突然死のリスクもあります。
検査
自咬症の場合は何が原因であるかを精査することが重要です。細菌や寄生虫の感染や外傷、腫瘤などを各種検査(皮膚細菌検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査など)で除外します。
治療
自咬症はいずれの原因であっても増悪を防ぐための措置が必要であり、カラーの装着が必要となることが多いです。自咬症の原因となるような基礎疾患の治療は重要ですが、すでに患部の状態が悪く個体のQOLの低下が認められるときには、併せてその対症療法も必要となります。
自咬症の治療は洗浄消毒、出血が認められる場合には止血処置を実施し、重度の裂傷などを認めるときには縫合処置が必要になることもあります。また処置後には痛み止めや感染に対して抗生物質の投与をおこないます。
上記の検査やそれに伴う治療反応から、自咬症の原因となる疾患を除外した場合は環境ストレスが原因として挙げられます。その場合では飼養環境の見直し、特に遊ぶ時間を増やすことや、多頭飼育することで改善されたという報告もあります。
予防
自咬症の原因となる疾患は主に皮膚疾患であり、その原因疾患の治療に早い段階で介入することにより増悪を防ぐことができます。さらに皮膚感染症も自咬症の原因となりうるため、環境の清浄化や感染の認められた個体との隔離を実施することが重要です。環境ストレスによる自咬症の場合は、十分に遊ぶ時間を設けることで発症を抑えられる可能性があります。
まとめ
フクロモモンガの自咬症は早いうちから原因を特定し、適切な対策と処置を講じることで予防や改善が期待できます。普段からフクロモモンガの動きや体表をよく観察して、何か異常を認めた場合には動物病院を受診することが重要です。アリーズ動物病院でもフクロモモンガの診察をしております。何か気になることがあればご相談ください。
フェレットの副腎疾患
はじめに
フェレットの副腎疾患は副腎腫瘍や副腎の過形成を原因として発生する疾患です。また副腎疾患は膵臓腫瘍に起因するインスリノーマや心疾患と並び、フェレットに最も多くみられる疾患の一つです。国内で飼育されるフェレットの多くは早期に避妊去勢手術を実施されていることが多く、それに伴い生殖器疾患の報告が減少したという報告もありますが、発生の原因としてわかっていない事も多い病気です。
ここではフェレットの副腎疾患についての症状や検査、治療法について詳しく解説していきます。
症状
フェレットの副腎疾患は中高齢のフェレットに好発します。副腎疾患に特徴的な徴候としては以下のようなものが挙げられます。
・脱毛
・メス:外陰部腫大/オス:前立腺肥大による排尿障害
・掻痒
その他、皮膚症状や筋肉の萎縮などの徴候も認められ、特に脱毛については他の疾患を原因として発生することは少ないため副腎疾患を強く疑います。ただしその観察部位は個体によって差があり、注意深く観察し、鑑別する必要があります。脱毛やそれに続発する皮膚症状などと比較して、オスの前立腺肥大による排尿障害や、骨髄抑制がフェレットの寿命に大きく関わります。
検査
脱毛などの特徴的な臨床症状やその好発年齢から副腎疾患を強く疑うことが出来るが、その診断は副腎の検出やホルモン測定が挙げられます。ただしホルモン測定は費用やその意義から実施せずに診断的治療に進むことも少なくありません。
超音波検査
通常、フェレットの副腎は楕円形で平たい形状であり、罹患副腎では腫大や変形を認めることが多い。超音波検査ではこの腫大や変形がないかを確認する。
ホルモン測定
フェレットの副腎疾患では前述のように性ホルモンの上昇が認められることが多く、ホルモン値測定による診断方法も報告されています。ただし、明らかな臨床症状があってもホルモンの値が上昇しない事もあり、臨床症状や他の検査結果を踏まえたうえで鑑別することが重要です。
治療
治療方針としては完治ではなく、臨床症状を抑える目的での寛解を目指します。性ホルモンを過剰に分泌する副腎が根本的な原因となっているため、外科的な治療では罹患副腎の切除を行います。外科的な処置のリスクが高い個体では内科的に治療していくことが推奨されます。なお、内科的治療に合わせて外科的治療を実施した方が予後が良い可能性も指摘されているため、その治療方針については症例の状態を見て決定します。
外科的治療
副腎の腫大を認めた場合に治療を開始するが、明らかな腫大を認めない場合には内科的な診断的治療を実施するか、経過観察として定期的に副腎を評価します。なお、外科的治療として罹患副腎を摘出した後に、反対側の副腎や副副腎の腫大が認められることもあり、その場合は再手術や内科的治療を開始します。
内科的治療
主に脱毛などの臨床症状の発現を治療開始のポイントとし、定期的な検査のもとで治療を行います。治療に用いるのはGnRHアナログという性ホルモンの前駆物質であり、これを投与することによる負のフィードバックが生じて過剰な性ホルモンの産生を抑える目的になります。
まとめ
フェレットの副腎疾患は性ホルモンの過剰分泌によるものです。治療方針としては、外科的治療により根本的な原因となっている副腎を摘出するか、内科的治療によってそのホルモン分泌を抑えていくかの二つになります。なお、いずれも臨床症状を抑えて管理することが目的となり、完治することは難しい疾患です。
ただし早期発見および早期の治療介入により、予後が良好となることも示唆されており、常日頃から体調に変化がないか観察していくことが重要です。
フェレットの副腎疾患は副腎腫瘍や副腎の過形成を原因として発生する疾患です。また副腎疾患は膵臓腫瘍に起因するインスリノーマや心疾患と並び、フェレットに最も多くみられる疾患の一つです。国内で飼育されるフェレットの多くは早期に避妊去勢手術を実施されていることが多く、それに伴い生殖器疾患の報告が減少したという報告もありますが、発生の原因としてわかっていない事も多い病気です。
ここではフェレットの副腎疾患についての症状や検査、治療法について詳しく解説していきます。
症状
フェレットの副腎疾患は中高齢のフェレットに好発します。副腎疾患に特徴的な徴候としては以下のようなものが挙げられます。
・脱毛
・メス:外陰部腫大/オス:前立腺肥大による排尿障害
・掻痒
その他、皮膚症状や筋肉の萎縮などの徴候も認められ、特に脱毛については他の疾患を原因として発生することは少ないため副腎疾患を強く疑います。ただしその観察部位は個体によって差があり、注意深く観察し、鑑別する必要があります。脱毛やそれに続発する皮膚症状などと比較して、オスの前立腺肥大による排尿障害や、骨髄抑制がフェレットの寿命に大きく関わります。
検査
脱毛などの特徴的な臨床症状やその好発年齢から副腎疾患を強く疑うことが出来るが、その診断は副腎の検出やホルモン測定が挙げられます。ただしホルモン測定は費用やその意義から実施せずに診断的治療に進むことも少なくありません。
超音波検査
通常、フェレットの副腎は楕円形で平たい形状であり、罹患副腎では腫大や変形を認めることが多い。超音波検査ではこの腫大や変形がないかを確認する。
ホルモン測定
フェレットの副腎疾患では前述のように性ホルモンの上昇が認められることが多く、ホルモン値測定による診断方法も報告されています。ただし、明らかな臨床症状があってもホルモンの値が上昇しない事もあり、臨床症状や他の検査結果を踏まえたうえで鑑別することが重要です。
治療
治療方針としては完治ではなく、臨床症状を抑える目的での寛解を目指します。性ホルモンを過剰に分泌する副腎が根本的な原因となっているため、外科的な治療では罹患副腎の切除を行います。外科的な処置のリスクが高い個体では内科的に治療していくことが推奨されます。なお、内科的治療に合わせて外科的治療を実施した方が予後が良い可能性も指摘されているため、その治療方針については症例の状態を見て決定します。
外科的治療
副腎の腫大を認めた場合に治療を開始するが、明らかな腫大を認めない場合には内科的な診断的治療を実施するか、経過観察として定期的に副腎を評価します。なお、外科的治療として罹患副腎を摘出した後に、反対側の副腎や副副腎の腫大が認められることもあり、その場合は再手術や内科的治療を開始します。
内科的治療
主に脱毛などの臨床症状の発現を治療開始のポイントとし、定期的な検査のもとで治療を行います。治療に用いるのはGnRHアナログという性ホルモンの前駆物質であり、これを投与することによる負のフィードバックが生じて過剰な性ホルモンの産生を抑える目的になります。
まとめ
フェレットの副腎疾患は性ホルモンの過剰分泌によるものです。治療方針としては、外科的治療により根本的な原因となっている副腎を摘出するか、内科的治療によってそのホルモン分泌を抑えていくかの二つになります。なお、いずれも臨床症状を抑えて管理することが目的となり、完治することは難しい疾患です。
ただし早期発見および早期の治療介入により、予後が良好となることも示唆されており、常日頃から体調に変化がないか観察していくことが重要です。
フェレットのインスリノーマ
フェレットのインスリノーマは膵臓の腫瘍が原因となる緊急疾患で、進行すると重度の低血糖を呈し、死亡することも少なくありません。
ここではフェレットのインスリノーマの徴候や治療法などを詳しく解説していきます。
原因
血糖値の維持にはたらくホルモンであるインスリンは膵臓のβ細胞から分泌され、正常では血中の血糖値に対応して、血糖値を下げる方向にはたらきます。フェレットのインスリノーマは膵臓の腫瘍であり、インスリンの過剰分泌に起因して低血糖を引き起こします。なお膵臓に腫瘍が発生する原因はまだ詳しく分かっていません。
疫学
主に中高齢(4-6歳以降)に好発します。性別による発生率には大きな違いは無いとされています。
症状
フェレットのインスリノーマの症状は主に低血糖に起因したものであり、以下のような徴候が見られることが多いです。
特に前三者についてはWhippleの三徴と称され、低血糖を疑います。
①空腹時の意識消失性発作
②発作時低血糖
③糖の補給による回復
他にも、体重減少や後肢麻痺、流涎、元気消失が挙げられます。
さらに長時間の低血糖は全身の諸臓器にも影響を及ぼし、それらの機能不全を引き起こします。また血糖値の急激な低下はアドレナリンの作用による交感神経の緊張を亢進し、頻脈や低体温、過敏症などを起こすことがあります。
以下の項目を自宅で確認してみましょう。
□いつも遊んでいる時間に起きてこない。
□よだれ、鼻水が良く出ている。
□ふるえ(発作、けいれん)がみられる。
□運動能力が落ちた。
□ぼんやりしている。
これらの項目にチェックが付いた場合は動物病院で検診を受けましょう。
検査
フェレットのインスリノーマは上記の特徴的な徴候と合わせて、主に血液検査で鑑別します。特徴的な項目としては、血糖値や血中インスリン濃度の測定があります。
血糖値測定
フェレットの正常の血糖値は90-100mg/dL程度とされており、70mg/dL (4-6時間絶食時)を下回るようであればインスリノーマを疑います。ただし低血糖になる原因としては種々の腫瘍性疾患や肝不全、副腎機能低下症なども挙げられるため、血液検査の結果や他の検査方法と合わせて鑑別します。
低血糖に対する代償機能がはたらいた場合にはインスリノーマでも血糖値は基準値内にあることや、慢性的な低血糖により重度の低血糖でも徴候を示していない場合もあり、他の検査項目や一般状態を考慮する必要があります。なお血糖値が20-40mg/dLの場合は昏睡状態となっていることが多いです。
血中インスリン濃度
上記の低血糖と併せて高インスリンがみられれば、インスリンの過剰分泌による低血糖状態の可能性が高く、インスリノーマを強く疑います。なお、この検査では偽陰性(実際は陽性だが、検査数値上では陰性となるもの)も考慮する必要があり、臨床症状や他の検査を踏まえたうえで総合的に判断する必要があります。
血液生化学検査
インスリノーマに罹患した個体では肝数値の上昇が認められることがあります。インスリンは全身の筋肉や脂肪組織においては各細胞への糖の取り込みと、その取り込まれた糖の貯蔵体(グリコーゲン)への変換にはたらき血糖値を下げる方向にはたらくほか、タンパク質や脂肪の合成を促進します。肝臓においても脂肪の合成を促進する方向にはたらき、脂肪肝(肝リピドーシス)となることがあります。これにより肝機能の低下が生じることで、肝数値の上昇が認められることがあります。または肝臓への転移により肝機能の低下が生じている可能性もあります。
その他の検査としてはレントゲン検査や超音波検査が挙げられます。レントゲン検査では著変を認めない事も多いが、超音波検査においては膵臓や周囲リンパ節の病変や肝臓や脾臓への転移性結節を確認できることがあります。また肝臓への転移や前述の脂肪肝の確認も行います。なお、インスリノーマを特異的に判断するのは難しいことが多く、その場合は膵臓の病理検査によって確定診断を行います。
治療
治療の方針としては、主に「完治」よりも「状態維持」を目指します。急激な低血糖状態となることが生体の維持に関わる為、この低血糖状態にならないように内科療法または補助的に外科療法を行うことが多いです。
明らかな腫瘤を認めた場合や膵臓の部分摘出を行うことによる治療効果を認めることもありますが、残った腫瘤が拡大していき再発することが多いです。そのため手術を選択するかどうかは飼い主と獣医師でよく相談したうえで実施します。
外科療法
インスリノーマは膵臓の腫瘍に起因するため、外科的に腫瘤切除や膵臓を部分的に摘出することは理論的には効果的であると言えます。なお、外科的に切除した後には残存した腫瘤が拡大することも少なくなく、繰り返しの処置が必要となることが多いです。内科的な治療と併用することで治療効果が高まるという報告もあります。
内科療法
内科的な治療としては、食餌療法や薬による維持があります。
食餌療法
血糖値は主に炭水化物の多い食餌や、一度に多くの食餌を与えることで上昇しやすいです。そのため、食餌を小分けにして与えることや、炭水化物の少ない食餌を選択することが重要です。なお肉食傾向の強いキャットフードやフェレット専用フードは高タンパクに設計されています。
投薬
プレドニゾロン(ステロイド)による血糖値の上昇やジアゾキシド(利尿薬の一種)によるインスリンの分泌抑制による治療が挙げられます。
プレドニゾロン
プレドニゾロンは全身の細胞への糖の取り込みを抑制するうえ、肝臓における糖新生(グリコーゲン→グルコース)を促進することで血糖値を上昇させます。インスリノーマに対するプレドニゾロンの投与は完治ではなく、あくまで血糖値の低下を抑える目的のため生涯服用する必要があります。プレドニゾロンは長期服用による副作用が発現することがあり、これを理解したうえで投薬に進む必要がある。
主な副作用には以下のようなものがあります。
・胃腸障害
:胃粘膜の保護機能の低下および胃酸分泌促進作用による(諸説あり)。
・脱毛などの皮膚症状
:皮膚のターンオーバーや被毛の毛周期を抑えることによる。皮膚の免疫機構が弱ることで寄生虫や細菌等に感染しやすくなる。
・脂肪の蓄積、筋肉の萎縮、肝酵素上昇
:肝臓や全身の筋肉における脂肪の同化、タンパクの異化作用による。
・心不全傾向
:体液保持および、それによって心臓に送り込まれる血液量の増加などによる。
ジアゾキシド
プレドニゾロンと異なり、インスリンの分泌を抑えることにより血糖値の低下を抑制します。主にプレドニゾロンの治療反応などを見たうえで開始します。
なお、食欲不振や嘔吐などの消化器障害、貧血などの副作用も認められるため、プレドニゾロンと同様に定期的なモニタリングが必要です。
低血糖発作時には…
安静時の食餌管理としては炭水化物の少ない食餌を心掛けますが、上記の低血糖徴候がみられた時には糖の補充を行います。なお、過剰な糖の補充を行うと低血糖を助長する可能性がある為、少量ずつの投与や嚥下可能な状態の時は同時にフードも給餌します。なお、重度の神経症状に進行した場合では、糖に対する反応が認められない事があります。
まとめ 中高齢のフェレットに好発するインスリノーマは低血糖を引き起こし、重度となると全身に影響を及ぼします。前述したような特徴的な徴候はありますが、明らかな徴候を見せない場合も多いです。特に中高齢に差し掛かったフェレットは自宅での行動の変化をよく観察したうえで、定期的な検診を受けることが重要です。
ご自宅のフェレットの体調等でご心配なことがあれば、何でもご相談ください。
ここではフェレットのインスリノーマの徴候や治療法などを詳しく解説していきます。
原因
血糖値の維持にはたらくホルモンであるインスリンは膵臓のβ細胞から分泌され、正常では血中の血糖値に対応して、血糖値を下げる方向にはたらきます。フェレットのインスリノーマは膵臓の腫瘍であり、インスリンの過剰分泌に起因して低血糖を引き起こします。なお膵臓に腫瘍が発生する原因はまだ詳しく分かっていません。
疫学
主に中高齢(4-6歳以降)に好発します。性別による発生率には大きな違いは無いとされています。
症状
フェレットのインスリノーマの症状は主に低血糖に起因したものであり、以下のような徴候が見られることが多いです。
特に前三者についてはWhippleの三徴と称され、低血糖を疑います。
①空腹時の意識消失性発作
②発作時低血糖
③糖の補給による回復
他にも、体重減少や後肢麻痺、流涎、元気消失が挙げられます。
さらに長時間の低血糖は全身の諸臓器にも影響を及ぼし、それらの機能不全を引き起こします。また血糖値の急激な低下はアドレナリンの作用による交感神経の緊張を亢進し、頻脈や低体温、過敏症などを起こすことがあります。
以下の項目を自宅で確認してみましょう。
□いつも遊んでいる時間に起きてこない。
□よだれ、鼻水が良く出ている。
□ふるえ(発作、けいれん)がみられる。
□運動能力が落ちた。
□ぼんやりしている。
これらの項目にチェックが付いた場合は動物病院で検診を受けましょう。
検査
フェレットのインスリノーマは上記の特徴的な徴候と合わせて、主に血液検査で鑑別します。特徴的な項目としては、血糖値や血中インスリン濃度の測定があります。
血糖値測定
フェレットの正常の血糖値は90-100mg/dL程度とされており、70mg/dL (4-6時間絶食時)を下回るようであればインスリノーマを疑います。ただし低血糖になる原因としては種々の腫瘍性疾患や肝不全、副腎機能低下症なども挙げられるため、血液検査の結果や他の検査方法と合わせて鑑別します。
低血糖に対する代償機能がはたらいた場合にはインスリノーマでも血糖値は基準値内にあることや、慢性的な低血糖により重度の低血糖でも徴候を示していない場合もあり、他の検査項目や一般状態を考慮する必要があります。なお血糖値が20-40mg/dLの場合は昏睡状態となっていることが多いです。
血中インスリン濃度
上記の低血糖と併せて高インスリンがみられれば、インスリンの過剰分泌による低血糖状態の可能性が高く、インスリノーマを強く疑います。なお、この検査では偽陰性(実際は陽性だが、検査数値上では陰性となるもの)も考慮する必要があり、臨床症状や他の検査を踏まえたうえで総合的に判断する必要があります。
血液生化学検査
インスリノーマに罹患した個体では肝数値の上昇が認められることがあります。インスリンは全身の筋肉や脂肪組織においては各細胞への糖の取り込みと、その取り込まれた糖の貯蔵体(グリコーゲン)への変換にはたらき血糖値を下げる方向にはたらくほか、タンパク質や脂肪の合成を促進します。肝臓においても脂肪の合成を促進する方向にはたらき、脂肪肝(肝リピドーシス)となることがあります。これにより肝機能の低下が生じることで、肝数値の上昇が認められることがあります。または肝臓への転移により肝機能の低下が生じている可能性もあります。
その他の検査としてはレントゲン検査や超音波検査が挙げられます。レントゲン検査では著変を認めない事も多いが、超音波検査においては膵臓や周囲リンパ節の病変や肝臓や脾臓への転移性結節を確認できることがあります。また肝臓への転移や前述の脂肪肝の確認も行います。なお、インスリノーマを特異的に判断するのは難しいことが多く、その場合は膵臓の病理検査によって確定診断を行います。
治療
治療の方針としては、主に「完治」よりも「状態維持」を目指します。急激な低血糖状態となることが生体の維持に関わる為、この低血糖状態にならないように内科療法または補助的に外科療法を行うことが多いです。
明らかな腫瘤を認めた場合や膵臓の部分摘出を行うことによる治療効果を認めることもありますが、残った腫瘤が拡大していき再発することが多いです。そのため手術を選択するかどうかは飼い主と獣医師でよく相談したうえで実施します。
外科療法
インスリノーマは膵臓の腫瘍に起因するため、外科的に腫瘤切除や膵臓を部分的に摘出することは理論的には効果的であると言えます。なお、外科的に切除した後には残存した腫瘤が拡大することも少なくなく、繰り返しの処置が必要となることが多いです。内科的な治療と併用することで治療効果が高まるという報告もあります。
内科療法
内科的な治療としては、食餌療法や薬による維持があります。
食餌療法
血糖値は主に炭水化物の多い食餌や、一度に多くの食餌を与えることで上昇しやすいです。そのため、食餌を小分けにして与えることや、炭水化物の少ない食餌を選択することが重要です。なお肉食傾向の強いキャットフードやフェレット専用フードは高タンパクに設計されています。
投薬
プレドニゾロン(ステロイド)による血糖値の上昇やジアゾキシド(利尿薬の一種)によるインスリンの分泌抑制による治療が挙げられます。
プレドニゾロン
プレドニゾロンは全身の細胞への糖の取り込みを抑制するうえ、肝臓における糖新生(グリコーゲン→グルコース)を促進することで血糖値を上昇させます。インスリノーマに対するプレドニゾロンの投与は完治ではなく、あくまで血糖値の低下を抑える目的のため生涯服用する必要があります。プレドニゾロンは長期服用による副作用が発現することがあり、これを理解したうえで投薬に進む必要がある。
主な副作用には以下のようなものがあります。
・胃腸障害
:胃粘膜の保護機能の低下および胃酸分泌促進作用による(諸説あり)。
・脱毛などの皮膚症状
:皮膚のターンオーバーや被毛の毛周期を抑えることによる。皮膚の免疫機構が弱ることで寄生虫や細菌等に感染しやすくなる。
・脂肪の蓄積、筋肉の萎縮、肝酵素上昇
:肝臓や全身の筋肉における脂肪の同化、タンパクの異化作用による。
・心不全傾向
:体液保持および、それによって心臓に送り込まれる血液量の増加などによる。
ジアゾキシド
プレドニゾロンと異なり、インスリンの分泌を抑えることにより血糖値の低下を抑制します。主にプレドニゾロンの治療反応などを見たうえで開始します。
なお、食欲不振や嘔吐などの消化器障害、貧血などの副作用も認められるため、プレドニゾロンと同様に定期的なモニタリングが必要です。
低血糖発作時には…
安静時の食餌管理としては炭水化物の少ない食餌を心掛けますが、上記の低血糖徴候がみられた時には糖の補充を行います。なお、過剰な糖の補充を行うと低血糖を助長する可能性がある為、少量ずつの投与や嚥下可能な状態の時は同時にフードも給餌します。なお、重度の神経症状に進行した場合では、糖に対する反応が認められない事があります。
まとめ 中高齢のフェレットに好発するインスリノーマは低血糖を引き起こし、重度となると全身に影響を及ぼします。前述したような特徴的な徴候はありますが、明らかな徴候を見せない場合も多いです。特に中高齢に差し掛かったフェレットは自宅での行動の変化をよく観察したうえで、定期的な検診を受けることが重要です。
ご自宅のフェレットの体調等でご心配なことがあれば、何でもご相談ください。
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