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フクロモモンガの自咬症
はじめに
フクロモモンガはオーストラリアを中心にオセアニア地域に生息している有袋類で、地域によっていくつかの亜種に分けられています。モモンガという名前がつくものの分類学的には大きくかけ離れており、フクロモモンガはカンガルーなどの仲間です。そのためリスの仲間のモモンガとは野生下での習性や食物なども異なっており、飼育下でもそれに則した適切な飼育管理が必要となります。
ここではフクロモモンガでよくみられる自咬症について詳しく説明していきます。
原因
自咬症はさまざまな原因が挙げられるが、環境ストレスや皮膚疾患などに続発して発症することが多いです。
環境ストレス
フクロモモンガは社会性をもつ動物であり、野生下では一頭のオスを中心とした小規模な群れを形成して生活しています。そのためケージ内での単独飼育ではストレスにより自咬症を引き起こすことが報告されており、単独飼育を選択する場合は十分に遊ぶ時間を設ける必要があります。なお、多頭飼育により社会性を満たせないことによるストレスは解消できますが、相性によっては他個体に排他的となる可能性や雌雄の組み合わせでは望まない繁殖の可能性もあるため注意が必要です。
皮膚疾患
自咬症を引き起こす主な部位は臭腺や陰部、育児嚢などで、それらの部位の炎症や分泌異常などに伴うことが多いです。疼痛や掻痒によって自咬が始まると考えられるため、何らかの原因による炎症や創傷も二次的な自咬症の原因となり得ます。
特に雄では炎症や感染の他に、分泌物貯留などを原因とした陰茎脱も多く、これを自傷することがあります。
症状
疼痛や不快感などによる舐め壊しにより皮膚の状態が増悪し、これにより二次的な感染や炎症が発生します。この悪循環により自咬症へと発展して患部の皮膚を自傷し、さらに重度になると筋肉の露出や断尾、陰茎の断裂にまで至ることもあります。
感染が悪化すると膿瘍にまで発展することもあり、これによる皮下膿瘍や突然死のリスクもあります。
検査
自咬症の場合は何が原因であるかを精査することが重要です。細菌や寄生虫の感染や外傷、腫瘤などを各種検査(皮膚細菌検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査など)で除外します。
治療
自咬症はいずれの原因であっても増悪を防ぐための措置が必要であり、カラーの装着が必要となることが多いです。自咬症の原因となるような基礎疾患の治療は重要ですが、すでに患部の状態が悪く個体のQOLの低下が認められるときには、併せてその対症療法も必要となります。
自咬症の治療は洗浄消毒、出血が認められる場合には止血処置を実施し、重度の裂傷などを認めるときには縫合処置が必要になることもあります。また処置後には痛み止めや感染に対して抗生物質の投与をおこないます。
上記の検査やそれに伴う治療反応から、自咬症の原因となる疾患を除外した場合は環境ストレスが原因として挙げられます。その場合では飼養環境の見直し、特に遊ぶ時間を増やすことや、多頭飼育することで改善されたという報告もあります。
予防
自咬症の原因となる疾患は主に皮膚疾患であり、その原因疾患の治療に早い段階で介入することにより増悪を防ぐことができます。さらに皮膚感染症も自咬症の原因となりうるため、環境の清浄化や感染の認められた個体との隔離を実施することが重要です。環境ストレスによる自咬症の場合は、十分に遊ぶ時間を設けることで発症を抑えられる可能性があります。
まとめ
フクロモモンガの自咬症は早いうちから原因を特定し、適切な対策と処置を講じることで予防や改善が期待できます。普段からフクロモモンガの動きや体表をよく観察して、何か異常を認めた場合には動物病院を受診することが重要です。アリーズ動物病院でもフクロモモンガの診察をしております。何か気になることがあればご相談ください。
フクロモモンガはオーストラリアを中心にオセアニア地域に生息している有袋類で、地域によっていくつかの亜種に分けられています。モモンガという名前がつくものの分類学的には大きくかけ離れており、フクロモモンガはカンガルーなどの仲間です。そのためリスの仲間のモモンガとは野生下での習性や食物なども異なっており、飼育下でもそれに則した適切な飼育管理が必要となります。
ここではフクロモモンガでよくみられる自咬症について詳しく説明していきます。
原因
自咬症はさまざまな原因が挙げられるが、環境ストレスや皮膚疾患などに続発して発症することが多いです。
環境ストレス
フクロモモンガは社会性をもつ動物であり、野生下では一頭のオスを中心とした小規模な群れを形成して生活しています。そのためケージ内での単独飼育ではストレスにより自咬症を引き起こすことが報告されており、単独飼育を選択する場合は十分に遊ぶ時間を設ける必要があります。なお、多頭飼育により社会性を満たせないことによるストレスは解消できますが、相性によっては他個体に排他的となる可能性や雌雄の組み合わせでは望まない繁殖の可能性もあるため注意が必要です。
皮膚疾患
自咬症を引き起こす主な部位は臭腺や陰部、育児嚢などで、それらの部位の炎症や分泌異常などに伴うことが多いです。疼痛や掻痒によって自咬が始まると考えられるため、何らかの原因による炎症や創傷も二次的な自咬症の原因となり得ます。
特に雄では炎症や感染の他に、分泌物貯留などを原因とした陰茎脱も多く、これを自傷することがあります。
症状
疼痛や不快感などによる舐め壊しにより皮膚の状態が増悪し、これにより二次的な感染や炎症が発生します。この悪循環により自咬症へと発展して患部の皮膚を自傷し、さらに重度になると筋肉の露出や断尾、陰茎の断裂にまで至ることもあります。
感染が悪化すると膿瘍にまで発展することもあり、これによる皮下膿瘍や突然死のリスクもあります。
検査
自咬症の場合は何が原因であるかを精査することが重要です。細菌や寄生虫の感染や外傷、腫瘤などを各種検査(皮膚細菌検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査など)で除外します。
治療
自咬症はいずれの原因であっても増悪を防ぐための措置が必要であり、カラーの装着が必要となることが多いです。自咬症の原因となるような基礎疾患の治療は重要ですが、すでに患部の状態が悪く個体のQOLの低下が認められるときには、併せてその対症療法も必要となります。
自咬症の治療は洗浄消毒、出血が認められる場合には止血処置を実施し、重度の裂傷などを認めるときには縫合処置が必要になることもあります。また処置後には痛み止めや感染に対して抗生物質の投与をおこないます。
上記の検査やそれに伴う治療反応から、自咬症の原因となる疾患を除外した場合は環境ストレスが原因として挙げられます。その場合では飼養環境の見直し、特に遊ぶ時間を増やすことや、多頭飼育することで改善されたという報告もあります。
予防
自咬症の原因となる疾患は主に皮膚疾患であり、その原因疾患の治療に早い段階で介入することにより増悪を防ぐことができます。さらに皮膚感染症も自咬症の原因となりうるため、環境の清浄化や感染の認められた個体との隔離を実施することが重要です。環境ストレスによる自咬症の場合は、十分に遊ぶ時間を設けることで発症を抑えられる可能性があります。
まとめ
フクロモモンガの自咬症は早いうちから原因を特定し、適切な対策と処置を講じることで予防や改善が期待できます。普段からフクロモモンガの動きや体表をよく観察して、何か異常を認めた場合には動物病院を受診することが重要です。アリーズ動物病院でもフクロモモンガの診察をしております。何か気になることがあればご相談ください。
2024年9月19日 17:22