動物別症例集カテゴリ
動物別症例集 : 哺乳類
ハムスター イエダニ寄生
ハムスター イエダニ寄生
ハムスターにイエダニが寄生してしまうことはたまにあります。
少数の寄生であれば平気で活動するのですが、多数寄生してしまった場合には貧血をおこして状態が悪くなってしまうこともあります。
イエダニを疑うような小さな粒がハムスターの体の上を動いている場合には、顕微鏡などでしっかり確認するために病院に連れてきてもらう必要があります。
イエダニ寄生が確認できた場合には、ハムスター本人や近くにいる他の動物に駆虫薬を使用したり、周辺環境からもダニを駆虫するために飼育設備を洗ったり捨てられる物は捨てたり、動物を避難させた上で部屋全体の燻蒸を行ったりして対処します。
また、イエダニはヒトからも吸血を行うこともあるので、自分たちの健康のためにも発見しだい対処することをオススメします。
うさぎ 陰嚢ヘルニア
うさぎ 陰嚢ヘルニア
うさぎさんは他の哺乳類さんと違って、成長した後でも精巣が陰嚢に入ったり、体の中に戻ったりします。
陰嚢ヘルニアでは、その穴を通じて体の中の臓器が陰嚢に落ちてしまいます。
膀胱が陰嚢に落ちて挟まってしまった、うさぎさんでは尿が出にくいなどの症状が出ており、
手術で膀胱を戻して穴を塞ぎました。
術後は普通に尿も出るようになり、無事治ってよかったです。
ヘルニアは体の一部が膨れることで気が付くこともある病気なので、定期的な健康診断で獣医による触診を受けたり、家でも細めに体を触って変なところがないか注意してあげると良いと思います。
ハリネズミの絞扼症例
ハリネズミの絞扼症例
小動物全般で、足先などの細くなっている部分に
糸などが絡まって、締め付けられ、組織や血管が圧迫される状態を絞扼と言います。
糸が絡まっただけ、という単純な状態ではなく
足先に血が流れなくなってしまうと、壊死してしまう可能性もある怖い状態です。
早急に絞扼部位に絡んだ糸を外してあげる必要があり、
血液が戻れば、足先も正常に戻る可能性もあります。
ただ状況によって、血流が戻らなかったり、本人が自分で噛んでしまったりする場合には
断脚になってしまう場合もあります。
足先に糸が絡まないよう、飼育環境の見直しをすることも大事です。
モルモットのダニ症(モルモットズツキダニ)
モルモットのダニ症(モルモットズツキダニ)
モルモットさんの毛全体に黒くて小さな動く物体が認められたので
顕微鏡で確認するとこれが見えました。
モルモットズツキダニと呼ばれるものですね。
痒みや脱毛を起こすこともある寄生虫です。
治療としては駆虫薬を使用したり、
環境を消毒したりする必要があります。
他にもモルモットさんには
ダニなどが付着することがあり、
ハジラミ類や疥癬などの報告があります。
程度の差はありますが、
症状としては、脱毛、皮膚炎、痒みなどが起こります。
治療方法は、駆虫薬と環境の消毒などになります。
もしお家のモルモットさんが痒がっていたり
脱毛してきたなどあるようであれば病院に連れて行ってあげてください。
モルモットの食滞
下の写真は食欲不振を呈したモルモットのレントゲン写真です。
胃や腸がガスにより拡張していることが分かります。
春と秋の気温が変動する時期の換毛期に多くみられ、症状としては急に食欲がなくなりあまり動かなくなる、ウンチが出ないといった症状を示します。
原因としては、千差万別であり、毛球だけでなく急激な気温の変化や台風など異常気象、食滞とはまた別の病気や異常によるストレスによっても、食滞を引き起こす原因となります。
重篤度においては症状によってはすぐに回復する軽いものから数日の放置で亡くなることもある位重篤なものまで、幅が広いため、早めの診察や治療をお勧めします。
消化管の状態により、輸液や消化管の機能を改善する薬や食欲増進剤の投与など行いますが、消化管が完全に詰まっている場合は、痛みによるショック死も考えられますので、鎮痛剤の投与を行う場合があります。
ウサギのトレポネーマ症
概要
トレポネーマという糸状・らせん状の菌に感染することで起こる皮膚炎です。
ヒトの梅毒症と症状や原因菌が似ているため、ウサギ梅毒と呼ばれることもあります。
ヒトに感染することはありませんが、ウサギ間では交尾によって感染を広めていきます。
また、母ウサギから子ウサギへの接触でも感染することがあります。
症状
トレポネーマに感染後、ストレスや体調悪化などが引き金となり発症します。
発症すると口・鼻や陰部の周囲にかさぶた、潰瘍、水ぶくれなどを形成します。
鼻水やくしゃみがみられることもあります。
また、感染していても症状が出ないこともあり、他のウサギへの感染源になってしまうことがあるので注意が必要です。
治療法
抗生物質の投与により症状の改善が見られますが、完治することはなく、また何らかのきっかけで発症をくりかえしてしまいます。
一度発症してしまったウサギさんは残念ですが繁殖に供さないことが、病気の蔓延防止には有効とされています。
ウサギの子宮疾患
ウサギは非常に子宮疾患が多い動物で、5歳以上のメスのウサギの約60%が子宮疾患になると言われています。
その中でも子宮内膜増殖症や腺癌が多く、その他にも子宮蓄膿症や子宮水腫など様々な病態が認められます。
子宮腺癌では、対応が遅れると肺や肝臓へ転移し、亡くなってしまいます。
癌でなかったとしても、出血多量を起こして命に関わることもあります。
症状としては陰部からの出血で発見されることが多いですが、ウサギの尿は正常でも色素により赤くみえる場合があるため注意が必要です。
また、ウサギはあまり体調の変化を表に出さない動物なので、発見した時にはかなり病態が進んでしまっていることも珍しくありません。
子宮疾患は避妊手術で予防できます。
ウサギの麻酔はリスクが高いという話もありますが、前述のように、メスのウサギはそれ以上の高率で子宮疾患になります。
今はウサギの麻酔も進歩しており、麻酔を安全に行う専用の道具も開発されています。
健康な若いうちに、なるべく早期の避妊手術をオススメします。