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動物別症例集 : 哺乳類 2ページ目
ウサギの軟部組織肉腫
軟部組織肉腫は皮下組織や筋肉などの軟部組織に発生する悪性腫瘍の一つです。発生部位は様々で、四肢・体幹・顔などです。この腫瘍は局所浸潤性が高く、転移は比較的低いと言われています。治療は外科的切除が一般的ですが、広範囲に切除しないと再発する可能性があります。その他の治療は抗がん剤や放射線治療などがあります。
フェレットの異物による腸閉塞
フェレットの消化器疾患ではよく見られる疾患です。
異物の種類は年齢により違いがあり、2歳以下の子は布、スポンジ、ゴムなどをよく飲み込んでしまいますが、中~高齢の子では自身の毛の塊(毛球)を詰まらせてしまうことが多いです。
重度の場合は嘔吐、流涎、下痢、体重減少等の症状がみられますが、初めの頃は元気消失、食欲不振などの非特異的症状で気付きにくいです。
基本的には画像診断(レントゲン、造影レントゲン、エコー検査)によって診断しますが、最終的には試験的な開腹手術で確定することもあります。
治療法としては開腹手術が行われ、胃や腸を切開して異物を摘出します。
フェレットのインスリノーマ
膵臓の腫瘍によってインスリンの過剰分泌が起こり低血糖となります。中~高年齢のフェレットによく見られます。フェレットの血糖値が70mg/dl以下の場合はインスリノーマ疑いとなります。
症状は、活動性の低下、腰のふらつき、よだれ、が初期に見られます。さらに起立不能、失禁、痙攣発作などの症状も発生する場合があります。
治療は原則的に内科療法です。血糖値上昇作用のある副腎皮質ホルモン製剤(プレドニゾロン)やジアゾキシドを使用します。
フェレットのリンパ腫
犬や猫と同じく、リンパ組織のあるところならどこにでも発症します。フェレットのリンパ腫は多中心型、縦隔型、消化器型などに分類されます。
症状は食欲不振・体重減少・虚脱・貧血・発熱など非特異的なものから、型によって、嘔吐・下痢・胸水・腹水・呼吸困難・排尿困難・後肢麻痺・多臓器不全・全身リンパ節の腫大・脾臓の腫大と発症部位によって種類や症状が様々です。
治療も犬・猫と同じ多剤併用の化学療法(抗癌剤)になります。
フェレットの副腎疾患
フェレットの副腎疾患は、中年期以降に多発する疾患であり、性別による差は見られず、副腎腫瘍が原因で発生した性ホルモンの分泌異常が臨床症状を発生させます。フェレットが体調を崩した時に、まず思い浮かべるのは副腎の病気といってもよいくらいです。
症状は、薄毛の進行、外陰部の腫脹、乳首の発赤、乳腺部の腫脹などが見られ、排尿回数が増加したりする場合もあります。また稀に、排尿困難を呈する場合もあります。
治療に関しては、腫瘍性疾患であるため、外科的摘出が完治をもたらす唯一の治療法です。しかし、外見上の副腎腫瘍の症状を呈して来院されたフェレットの大半においては、まずは内科的治療を選択してホルモン異常を治療しながら、副腎腫瘍の増大傾向や年齢、体調などを考慮し、エコー、レントゲン、血液検査などの検査の結果で摘出手術の時期を検討する場合が多いです。内科的治療薬としては、リュープリンという商品名の薬剤が使用され、一度の投与で効果が約一か月間持続します。