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犬の潜在精巣
犬の精巣は、出生時は腹腔内にあり、通常は生後30日ほどで陰嚢内に下降してきます。
潜在精巣とは、精巣が片側または両側とも陰嚢内に下降せず、腹腔内または鼠径部に停留することをいいます。別名陰睾(いんこう)ともいわれます。遺伝するため、繁殖に用いないことが重要です。
また、潜在精巣は正常な精巣と比べて約13倍も腫瘍化しやすいというデータがあります。精巣の腫瘍は悪性のものも報告されています。
精巣が腹腔内にある場合は開腹手術になってしまいますが、早めの去勢手術を腫瘍化しないうちにおすすめします。
当院では生後半年頃での去勢手術を推奨しています。ワクチン接種とあわせてご相談ください。
犬の肛門周囲腺腫・肛門周囲腺癌
去勢をしていないオスの老犬に多く見られる腫瘍で、その多くは良性の肛門周囲腺腫です。一方、メス犬の場合は悪性の肛門周囲腺癌が大部分になります。これは肛門周囲腺癌がホルモン依存性ではないためです。
治療はどちらも腫瘍を摘出します。去勢も同時に行います。予防は若いときに去勢をすることです。
犬の僧帽弁閉鎖不全(MMVD)
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、老齢の小型犬に多くみられる心臓病で、早い場合には5~6歳で症状が現れることもあります。僧帽弁(心臓の中にある血液の逆流を防ぐ弁)が肥厚し、弁がしっかり閉じなくなることで生じます。
症状は、咳が出る、疲れやすい、運動をしたがらないなどです。また、病状が進行すると肺水腫を引き起こし、呼吸困難となることもあります。
犬の橈尺骨骨折
トイプードル、チワワ、ポメラニアンなどのトイ犬種といわれる小型犬やイタリアン・グレーハウンドなどの前肢は細いため衝撃に弱く、ソファから飛び降りて骨折してしまったり、抱っこ中に落下して骨折してしまうケースが多いです。
前腕部は橈骨と尺骨から構成されますが、それらをまとめて骨折することを橈尺骨骨折とよびます。
骨折の程度にもよりますが、通常は手術を行って体内にプレートを埋め込んで骨を固定する必要があります。
ヒビ程度であればギプスなどの外固定でも治癒することがあります。
後日レントゲン撮影で骨の癒合が確認できたら、再度手術をしてプレートを摘出します。
ちょっとの不注意で二度も手術をするような大掛かりな事態になってしまいますので、高いところには登らない、高いところから飛び降りない、などのしつけを普段から行っておくことが重要です。